個人事業主(フリーランス)の消費税の請求について
個人事業主(フリーランス)の方で、「消費税は請求すべきか?」ということで悩む人は少なくないようです。
消費税は請求するものなのか、それとも請求しないものなのか。
そもそも、この議論自体が間違っているのです。
このことを詳しく説明する前に、個人事業主の消費税について各分野の人の意見を聞いてみましたので、ここに記しておきます。
実は、専門家と呼ばれている人たちでも、個人事業主の消費税に関する理解がまちまちです。
正しく理解している人はとても少ないのです。
■税務署
「1,000万未満の人は免税事業者なので、消費税を納める必要はありません。請求については、どちらでもいいですよ」
数カ所の税務署に直接確認してみましたが、ほぼ、同じような答えが返ってきました。
■税理士・会計士
「税務署に消費税を納めていないのなら、クライアントに消費税は請求すべきではない」
「什器備品、その他資料購入の際に消費税を支払っているのだから、消費税を請求するのは当然」
「売上が1,000万以下の場合、消費税は請求してはいけない」
専門家でも回答はまちまちです。
■クライアント
「個人事業主(フリーランス)の場合、消費税の請求は認めない」
「どちらでも」
「消費税を請求してください」
クライアントが、もっともバラツキがありますし、正しく理解している人はほとんどいません。
それぞれの見解が異なっていることは、個人事業主(フリーランス)が消費税の扱いに迷ってしまう大きな要因になっています。
しかし、個人事業主は「事業者として消費税を請求するべき」なのです。
これが正解です。
売上の多寡や事業形態などにかかわらず、消費税は請求することが現在の社会の仕組みです。
問題の本質は「消費税別」か「消費税込み」かなのです。
たとえば、ギャラが5万円だとします。
「消費税込みの5万円」なのか「消費税別の5万円なのか」ということなのです。
消費税別であれば、52,500円の請求額です。
請求額が5万の場合は、「税込で請求しいる」という考え方になるのです。
このことを理解している人が少ないので、消費税についてもめることが多いのです。
個人事業主も消費税を請求する
それでは、具体的には、どうしたら良いのでしょうか。
消費税は請求するものです。
確認すべきことは、「消費税別」なのか「消費税込み」の金額なのかということです。
クライアントへの確認でもあり、交渉でもあります。
「ギャラは5万円」
と言われたら、
「5万円+消費税ということで」
と交渉(確認)することです。
これが、消費税に関する正しいとらえ方です。
しかし、クライアントによっては頑なに「消費税はダメ」という考えを持っているところもあり、いくら説明してもなかなか理解してもらえない場合もあります。
そういう場合は、料金交渉をするか、「税込で5万円」というギャラで了承するかです。
フリーランスとして意識すべきことはクライアントに「消費税についての正しい理解をしてもらうこと」ではありません。
クライアントとの良好な関係を継続していくことが重要です。
しかし、今後、消費税が8%、10%と上がっていく中では、消費税もバカになりませんので、消費税別で請求できるようにしていきましょう。
※売上1,000万以下の人は「免税事業者」であり、消費税の納入義務がありません。
しかし、このことと、消費税を請求するか否かは別の問題です。