広報

広報担当者こそ「コピーライティング」を学ぶべき理由

〜惹きつける言葉が、企業の未来を変える〜


はじめに:広報の本質とは、伝えることではなく「伝わる」こと

企業広報の役目は多岐にわたります。

企業イメージの構築、メディアリレーションズ、危機管理対応、CSRの発信──

そのすべてに共通するのは「企業の情報を社会に届ける」という使命です。

しかし、ただ情報を発信するだけでは足りません。

大切なのは、「どう伝えるか」。

つまり、受け手に興味を持ってもらい、心を動かし、行動につなげる伝え方ができるかどうか。
これこそが、今、広報に求められている本質的な力です。

そして、その力を高めるために必要なのが──コピーライティングスキルです。

コピーライティング


なぜ、広報に「コピーライティング」が必要なのか?

コピーライティングと聞くと、「広告業界の人のもの」と思うかもしれません。しかし、実際には広報の仕事のあらゆる場面で活きてきます。

✔ 企業イメージの第一印象は「言葉」で決まる

ニュースリリース、Webサイトの冒頭文、SNS投稿、会社案内の見出し──これらの文章は、すべて会社の“顔”です。

つまり、「この会社って、なんかいいな」「信頼できそうだな」と感じてもらえるかどうかは、最初の一文キャッチコピーにかかっているのです。

✔ メディアに取り上げられるかどうかも「言葉」で決まる

日々、膨大な量のプレスリリースがメディアに届いています。その中で記者や編集者が思わず開いてしまうのは、やはり「キャッチーなタイトル」や「目を引く一言」があるもの。

どんなに素晴らしい内容でも、伝え方を間違えるとスルーされてしまう──これは広報あるあるかもしれません。

✔ SNS時代、ユーザーが拡散したくなるのは「心に刺さる言葉」

企業の情報がバズるかどうかは、もうマスメディアだけの時代ではありません。今はSNS上で、消費者が自らの言葉で拡散する時代です。

そして、シェアされる投稿には必ず「感情を動かす言葉」があります。

つまり、広報担当者自身がコピーライティングスキルを持つことが、拡散力のある情報発信に直結するということなのです。


コピーライティングって何?広告と広報の境界線

改めて、コピーライティングとは何か?

一般的には、「商品やサービスの魅力を言葉で伝え、行動(購入や問い合わせ)につなげる技術」と言われます。広告の世界では、以下のような目的で使われています。

  • 広告のキャッチコピー

  • LP(ランディングページ)の構成と文章

  • CMのシナリオ など

一方で、広報の目的は「販売」ではなく「信頼の構築」であり、広告とは少し異なります。

しかし、信頼を築くにも、企業に興味を持ってもらうにも、まず「読んでもらう」「惹きつける」必要がある──その点において、コピーライティングの考え方は、まさに広報にも必要不可欠なスキルなのです。


広報×コピーライティングで変わる5つのこと

では、コピーライティングを学ぶことで、広報の仕事はどう変わるのでしょうか?以下の5つが代表的なメリットです。

1.ニュースリリースが読まれるようになる

よくあるプレスリリースのタイトルは、「〇〇を開始」「△△の新商品を発表」といった無難なもの。しかし、記者の心をつかむには、読んでみたいと思わせるひねり具体性が必要です。

▶ 例:
「AIで1日5時間の業務削減!働き方改革を“本気”で進めるベンチャー企業の挑戦」

→ 内容は同じでも、こうした切り口で書くと、注目度がグンと上がります。

2.自社サイトが“読む価値ある情報源”になる

Webサイトに訪れたユーザーの滞在時間を延ばすには、「続きが気になる」構成と、「共感を得る言葉」が欠かせません。

コピーライティングでは、読者の心を動かす「ストーリーテリング」や「ベネフィット訴求」を重視します。これは、企業ストーリーや採用ページの執筆などにも非常に有効です。

3. SNS運用がグッと強くなる

今や企業の広報活動にSNSは欠かせません。
X(旧Twitter)、Instagram、LinkedInなどでの投稿は、言葉1つで反応が大きく変わります

▶ 例:

  • 【ありきたり】「新商品発売のお知らせ」

  • 【コピーライティング的】「“これが欲しかった!”の声、続々。あの悩みを5秒で解決するアイテムが新登場。」

ちょっとした工夫で、インプレッションも反応も段違いです。

4.危機対応が伝わる言葉になる

謝罪文やお詫びのお知らせも、表現ひとつで炎上を避けたり、逆に「誠意が伝わる企業」として好感を持たれることがあります。

このような場面でも、相手の心情を理解し、誤解を生まない・信頼を回復する文章を書く技術が、コピーライティング的なスキルに通じます。

5. メディアやインフルエンサーからの共感を得やすくなる

「この会社、おもしろい!」「この取り組み、紹介したい!」と思ってもらえるのは、データや事実だけではなく、ストーリーや思想です。

企画書や資料、取材依頼文においても、惹きつける表現や「刺さる一言」があれば、協力を得られる確率は高まります。


どうやってコピーライティングを学べばいい?

「でも、自分は文系じゃないし…」「そんなにセンスないし…」と思う方もいるかもしれません。でも大丈夫。

コピーライティングは、才能よりも“型”を学ぶことが重要です。

初心者でも取り入れやすいテクニックをいくつか紹介します。


代表的なコピーライティングの「型」

AIDA(アイーダ)

  1. Attention(注目)

  2. Interest(興味)

  3. Desire(欲求)

  4. Action(行動)

→ ニュースリリースの構成や、Web記事、SNS投稿に使いやすい型です。


PAS(パス)

  1. Problem(問題提起)

  2. Agitation(あおり・掘り下げ)

  3. Solution(解決策提示)

→ 読者の課題意識を喚起するストーリー構成に有効。CSR記事や採用ストーリーに最適。


キャッチコピーの鉄板フレーズ

  • 「〇〇な人、必見!」

  • 「たった〇分で△△できる」

  • 「こんな悩みありませんか?」

  • 「今話題の〇〇がすごい理由」

これらを覚えておくだけでも、投稿の見出しやリード文に使えて便利です。


まとめ:広報は「言葉で信頼を築くプロフェッショナル」

情報の波に埋もれる時代、企業広報が果たすべき役割はますます重要になっています。

あなたが発信する「一文」が、企業の未来を変えるかもしれない。

その一文に、人の心を動かす力を宿すために──

コピーライティングは、広報の武器になる。

あなたの文章が、まだ見ぬファンや取材者、未来の社員を惹きつけるかもしれません。

ぜひ、広報のプロフェッショナルとして「言葉の力」を手に入れてください。


▶ おすすめの学び方(あとがきにかえて)

  • 書籍で学ぶ:「沈黙のWebライティング」「セールスライティング・ハンドブック」など

  • 実践講座で学ぶ:コピーライティングの実践講座や通信講座(例:コピー大学など)

  • 日々の投稿で試す:SNS投稿や社内報などを活用し、日常でトライ!

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