もくじ
特別講義 第1回「先輩たちは、どうやってコピーライターになったか?」
コピーライターになるための代表的な道のりは、「広告代理店や広告制作会社に就職する」ことです。
現在活躍している多くのコピーライターが、そういうステップを踏んでいます。
しかし、方法はそれだけでありません。
特別講義の第1回目では、現在コピーライターとして活躍している先輩たちが、「実際にどうやってコピーライターになったのか?」、そして「コピーライターになれた要因は何か?」について探っていきたいと思います。
現役コピーライターの方々にお聞きしました。
「名刺の肩書きに『コピーライター』と印刷すればコピーライターになれる
まずは、私自身のことをお話しさせていただきます。
私は、事情があって大学を途中で退学しました。
生活するためにはお金を稼がなければならないので、とりあえずアルバイトを探し、運よく小さな制作会社にアルバイトとして雇われることになりました。
アルバイト先の会社は、社内にクリエイターが存在せず、すべて外部スタッフに依頼して制作するというディレクター集団のような会社でした。
こう言うと聞こえはいいのですが、実際のところは営業や進行管理、校正、印刷会社への手配、その他雑用なども行う、グラフィック関係の何でも屋のような会社でした。
私の役割は、カタログ・パンフレットなどの原稿や初稿、再校をクライアントに届けたり、クライアントから赤字(修正指示)の入った原稿を受け取りに行くという仕事でした。簡単に言ってしまえばお使いです。
単なるお使い仕事ばかりしていたのですが、それなりに仕事に慣れ、クライアントに顔と名前を覚えてもらえるようになると、さまざまな要望を聞いて対応するようになりました。
そんな頃、会社の上司から、
「そろそろ名刺を作ってやろう。肩書きは『営業』でいいかな」と言われました。
しかし私は、営業らしい営業はしていませんでしたし、営業としてバリバリやっていくつもりもありませんでした。
宣伝会議の『コピーライター養成講座』の夜間コースに通い始めた頃だったので、「肩書きはコピーライターにしてください」と頼みました。
「ふざけるな!」
上司から怒鳴られてしまいました。
「クリエイティブのことなど何もわかっていない若造が生意気を言いやがって」と、上司は一日中、不機嫌でした。
言われてみればその通りです。まったく反論の余地はありませんでした。
しかし、それから数日後、出来上がった名刺を見て驚きました。
名刺には、はっきりと「コピーライター」と印刷されていたのです。
そうして私は、コピーライターになったのです。
コピーライターになるには、世間一般で言われているように、試験もありませんし資格も必要ありませんので、自分で「コピーライター」と名乗ってしまえばなれることもあるのです。
ちなみにその上司は、たまたまですが、ある著名なコピーライターと高校時代からの同級生でした。
そのコピーライターは現在大手広告代理店のトップの方であり、偶然ですが宣伝会議、コピーライター養成講座時代の恩師です。
それでは、現在、コピーライターとして活動している先輩たちが、どういう経緯をただってコピーライターになったかについてを見てみることにしましょう。
「自作の作品を用意して広告制作会社の面接に挑む」
大学時代はコピーライターを志望して就職活動を行いました。
しかし、結果的に一般企業に入社しました。
2年程度で、小さな広告代理店に未経験の中途で転職。この時に初めてコピーの実務に携わりました。
その後、退社し、広告制作会社にコピーライターとして採用されました。
コピーライターになれたと思う理由は3つほどあります。
1)自作の作品を用意した(アピールはなるだけ謙虚に)
2)面接では丁寧な受け答えを心がけた(言葉を扱う仕事だけに)
3)「私はコピーライターになるために生まれた」と信じて疑わなかった(意外と大事なことです)
フリーランスのコピーライター
「企業の広告制作部から、広告制作会社に転職」
大学卒業後、メーカーの広告制作部に就職しました。
しかし、「コピーライティングに特化したい」という想いが強くなり、業務の傍らコピーライターの専門学校に通学。
卒業後、広告制作会社のコピーライター職を探して転職活動を行い、見事採用されました。
メーカーの広告制作である程度の基礎は身についていたこと、専門学校で制作した課題を自己PRに上手く活用したこと等が良い結果につながったのだと思います。
制作会社勤務のコピーライター
「コピーライター養成講座の課題を持参」
大学卒業後、最初に勤めた広告代理店を1年で辞め、宣伝会議の通信講座で勉強しました。
卒業後、宣伝会議の紹介でデザインオフィスにコピーライターとして採用されました。
面接には宣伝会議での課題作品を持参しました。
フリーランスのコピーライター
「インターンシップで経験を」
昔から文章を書くのが好きでした。大学時代のインターンでコピーライティングを任され、就職活動にもそれをアピールポイントとして面接を受けました。
広告代理店勤務のコピーライター
「コピーライター養成講座がきっかけでコピーライターに」
大学4年、超氷河期に就職活動をしていましたが、まったく上手くいきませんでした。
そんな折りに宣伝会議のコピーライター養成講座を知り受講。広告業界は全く無知でしたが、エントリーシートを上手く書きたいとだけ思っていました。
その後就職は決まりましたが、4月に企業側の都合で突然無職になってしまいました。
養成講座を再び受講しようと宣伝会議に連絡したところ、広告制作会社の社長(講座の講師をされていた方)がうちに来てほしいとおっしゃっていると聞き、即日、コピーライターとして採用されました。
養成講座で課題を着実にこなし、卒業制作で最優秀賞を受賞したのが決め手になったと思います。
フリーランスのコピーライター
「デザイナーからコピーライターに」
就職した先が広告代理店で、グラフィックデザイナーで入社しました。
しかし、小さな広告代理店だったので専門でコピーライターをやっている人はいませんでした。
元々文章を書いたりすることも得意だったので、気が付いたらコピーライターになっていました。
広告代理店勤務のコピーライター
まとめ
皆さん、様々な道のりをたどってコピーライターになっているようです。
共通しているのは、どんな職業でも「誰もが最初は未経験者」だということです。
最初に必要なことは、その道を目指すという思い(志)であり、方法はたくさんあるのです。
しかし、間違いなく近道は存在しています。
それは、自分が志しているものになれる環境に身を置くことです。
コピーを学べる学校に通うことや、広告代理店や制作会社に入社することは近道のひとつです。