企画づくり 営業

クライアントに響く企画書のつくり方

2025年12月26日

営業の企画書は「資料」ではない

 

コピーライター思考でつくる、刺さる提案書の作成方法

営業がクライアントに提案するとき、多くの人が最初に悩むのが
「何を書けばいいのかわからない」
「ちゃんと説明しているのに、なぜか響かない」
という問題です。

営業の悩み

それもそのはず。
多くの営業企画書は、無意識のうちに 「説明資料」 になってしまっています。

説明書

しかし、コピーライターの視点で見ると、企画書の本質はまったく違います。

企画書とは
クライアントの“心を動かし、意思決定を前に進めるための文章”
です。

この記事では、
・クライアントの課題の本質をどう引き出すのか
・消費者のインサイトをどう見つけるのか
・それをどう企画書に落とし込むのか
・クライアントを惹きつけるタイトルのつけ方

を、コピーライターの思考法をベースに、順を追って解説します。


なぜ多くの企画書は「通らない」のか

まず前提として知っておきたいのは、
企画書が通らない理由は、アイデア不足ではない
ということです。

よくあるNG企画書の特徴は、次の通りです。

  • 商品・サービスの説明から始まっている
  • 機能や強みを丁寧に並べている
  • こちらの「言いたいこと」が中心になっている
  • クライアントの現状や感情がほとんど出てこない

これは営業資料としては一見正しそうですが、
コピーライター視点で見ると致命的な欠点があります。

それは、
「相手の世界から書かれていない」
という点です。

コピーライターは、必ず
「相手は今、どんな状況で、何に悩み、何を恐れているのか」
から考えます。

この視点がない企画書は、どれだけ立派でも
「ふーん」で終わってしまうのです。


STEP1:クライアントの課題は「言葉の奥」にある

企画書づくりで最初にやるべきことは、
課題を聞くことではありません。

課題の“本質”を見つけることです。

たとえば、クライアントがこんなことを言ったとします。

「最近、集客がうまくいっていなくて…」

ここで多くの営業は、
「集客施策の提案」を考え始めます。

しかしコピーライターは、ここで一度立ち止まります。

  • なぜ集客が必要なのか
  • 以前はうまくいっていたのか
  • 社内ではどう評価されているのか
  • 本当は何に一番困っているのか

「集客がうまくいかない」は、あくまで表面の言葉です。

掘り下げていくと、実は

  • 社内で成果を求められている焦り
  • これ以上失敗できないプレッシャー
  • 過去施策が否定される不安

といった感情の課題が隠れていることがほとんどです。

企画書に必要なのは
「施策」よりも「共感」

この感情レベルまでたどり着けたとき、
企画書は一気に“刺さる”ものに変わります。


STEP2:消費者インサイトは「事実」と「感情」の交差点にある

次に重要なのが、消費者インサイトです。

インサイトとは、
消費者自身もはっきり言語化できていない、本音や無意識の欲求
のこと。

コピーライターは、インサイトを探すときに
次の2つをセットで考えます。

  • 事実(行動・状況・データ)
  • 感情(不安・期待・面倒・欲望)

たとえば、

  • 情報はたくさんあるのに、なぜ選べないのか
  • 安いのに、なぜ買われないのか
  • 便利なのに、なぜ使われないのか

この「なぜ?」の裏側には、
合理では説明できない感情があります。

企画書において重要なのは、
「消費者はこう考えています」ではなく
「実は、こんな気持ちを抱えています」
と示せるかどうか。

ここまで言語化できると、
クライアントは自然とこう感じ始めます。

「この人、ちゃんとわかってるな」


STEP3:解決策は“正しさ”より“納得感”

課題とインサイトが見えたら、
ようやく解決策を考えます。

ここで注意したいのは、
正しい提案=通る提案ではない
ということ。

コピーライターが重視するのは、
「それ、やりたいです」と思わせる流れです。

そのためには、解決策を

  • いきなり提示しない
  • 課題 → インサイト → 解決策
    の順番で語ることが重要です。

企画書において解決策は
「答え」ではなく
「自然にたどり着いた結論」
である必要があります。

そうすることで、クライアントは
提案を「売り込み」ではなく
「自分ごと」として受け取ってくれます。


STEP4:企画書のタイトルは「中身の要約」ではない

最後に、もっとも軽視されがちで、
もっとも重要なのが タイトル です。

多くの企画書タイトルは、
内容を説明しようとしすぎています。

コピーライター的タイトルの役割は、
「続きを読みたくさせること」
ただそれだけです。

プレゼン

良いタイトルには、次の要素があります。

  • クライアントの課題がにじんでいる
  • 意外性、または強い共感がある
  • 答えをすべて言わない

たとえば、

「SNS施策提案書」
ではなく

「なぜ、今までの施策が反応されなかったのか」

この違いだけで、
企画書の“読まれ方”は大きく変わります。


企画書は「売る文章」ではなく「信頼をつくる文章」

コピーライターの考え方をベースにした企画書は、
テクニック以前に、姿勢が違います。

  • 説得しようとしない
  • 相手の言葉を信じる
  • 感情から書き始める

その積み重ねが、
「この人に任せたい」という信頼につながります。

営業の企画書は、
うまく書こうとしなくていい。
かっこよく見せようとしなくていい。

ただ一つ、
「相手の世界から書けているか」

そこを意識するだけで、
企画書の通過率は、確実に変わります。


 

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