ブランディング

ブランディング事例解説 ホンダ

2020年11月30日

ホンダのブランディング 事例解説 「ブランディングで最も重要なこととは?」

 

ブランディングにおいて最も重要なことはビジョンです。

ビジョンは「何が何でも成し遂げたいこと」「利益を追求することよりも大切な価値観」です。

次に、ビジョンの重要性についてホンダの事例を紹介します。

「Honda Philosophy」「ホンダイズム」「ホンダらしさ」など、ホンダは企業理念を語る際に頻繁に取り上げられる企業であり、確固たるビジョンを持ち、それを実現してきた代表的な企業です。

ホンダの企業理念は「Honda Philosophy」として、基本理念、社是、運営方針の3つで明文化されています。基本理念は、「人間尊重」と「三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」です。

この理念は、本田技研工業のみならず、ホンダグループ各社の社員にも浸透しています。

同社には、理念に共感して入社した者も多く、それを誇りに思っている社員たちが大勢います。

honda

 

ホンダの基本理念

ホンダの基本理念

 

社是

「我が社は世界的視野に立ち、顧客の要請に応えて、性能の優れた、廉価な製品を生産する」

※1956年1月に発行されたホンダ社報に掲載されたもので、現在のものとは文言が異なります。

 

企業理念を構築した本田宗一郎の考え方

 

「われわれ企業家として一番大事なものはあくまでも製品である。

製品自体が信用のおける、みんなに納得してもらえる品物をつくることを重点的に考えなければならない。

品物に対する信頼感が先に立たないといけなし、営業政策にしても、あそこは嘘をいわない、一貫しているということで、ある特定の人だけにわかるものじゃなくて、誰にでもわかる妥当普遍な経営をしていかなければならない。

要するに企業というものは品物と営業のしかた、経営のしかたにおいて、納得できる線がいつも先に押し出されてこそ、はじめてカネが生まれてくるのだと思う」

本田宗一郎

「世界に類の無いものをつくろう」

「模倣ではなく独創」

「人間の生命に関することなので、その点にいちばん気をつけなければならないと自分は考えている」

 

ホンダが作ってきたオートバイや自動車は、「三つの喜び」を具現化したもの。

 

だれでも簡単に乗れるオートバイ「スーパーカブ」は、1958年から発売され、現在まで50年以上親しまれ、世界販売台数は6,000万台を越える。

 

 

売る喜びの具現化

 

「売る喜び」として象徴的なのが、販売店が売ることだけに専念してもらえる支援体制を作り上げたことです。

修理・点検を行うSF(サービスファクトリー)、中古車の下取り・再販のホンダ中古車販売(株)、営業・販売面でのサポートを行うための営業所と(株)ホンダ営研という体制で、販売店をサポートしました。

修理・点検を行うSFは、利益を上げるためのものではなく、あくまでも販売店を支援する体制としてつくられたもので、実際にそれで儲けることはありませんでした。

また、ホンダが直販店を持たなかったことは、ホンダが販売店を大切にしたことの証明であり、売る喜びを実現させたものと言えるでしょう。

 

 

ホンダが成し遂げてきたこと

 

ホンダは、社是にあるように世界的視野に立つことと同時に、世界一になるという夢を持っていました。

TTレース(ツーリスト・トロフィー・レース)や、F1への参加は、レースで優秀な成績を得て、世界市場を狙うためのものでした。

レースでの優勝はホンダの名を世界に知らしめました。

また、世界一を目指すことは、ホンダの技術レベルを高めることにもつながりました。

 

世界で最初にマスキー法の条件を満たしたのはホンダでした。マスキー法は自動車の排気ガスを規制する法律であり、世界中のメーカーから開発不可能と言われていたものです。

しかし、ホンダはCVCCエンジン(低公害エンジン)を開発し、シビックに搭載して発売するという快挙を成し遂げました。

「マスキー法への対応は企業本位の問題ではなく、自動車産業の社会的責任上なすべき義務である」として、CVCC技術をトヨタをはじめ他の自動車メーカーにも技術提供しました。

 

F1鈴鹿サーキットは、日本で最初の本格的ロードレースサーキット場ですが、命に関わる製品を作っている責任があるという思想のもと、高速道路に対応した車づくりと高速走行が可能な場が必要だと考えて、ホンダが建設したものです。

鈴鹿サーキットは、レース以外に交通安全指導やテストコースとしても活用されています。

 

鈴鹿サーキット

 

 

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